寿司
サケ、サバ、イワシ、ブリ、マグロ、アジ、タラ、サンマ、ニシンなどの魚には、「DHA」(ドコサヘキサエン酸)と、「EPA」(エイコサペンタエン酸)という栄養素が多く含まれています。
数の子や、イクラは、親であるニシンや、サケの倍近くの「DHA」と、「EPA」が含まれています。
数の子が、お正月のおせち料理に定番なのは、「子だくさん」な形状と、栄養価が高く、健康で長生き出来て、「繁栄」するという意味で、縁起の良い食材だと考えられていたからです。
日本人の昔の朝食は、サケや、アジ、ブリ、イワシといった焼き魚が主流でしたが、欧米化に伴って、パンが主流になり、魚をあまり取らなくなりました。
DHAを多く含む「数の子」
脂肪を構成する脂肪酸には、「飽和脂肪酸」(ほうわしぼうさん)と「不飽和脂肪酸」(ふほうわしぼうさん)があります。
肉の油や、バターなど動物性脂肪には「飽和脂肪酸」が多く含まれています。
摂取が過剰になると肝臓でコレステロールの合成を促進し、血中コレステロール値を上げてしまうそうです。
それに対して、青身魚や、オリーブ油、サラダ油などの植物性脂肪には「不飽和脂肪酸」が多く含まれています。
コレステロールの排出を促進して、血中のコレステロールを下げる働きがあると言います。
「DHA」も、「EPA」も、「不飽和脂肪酸」です。
「DHA」という栄養素は、6つの二重結合を含む22個の炭素鎖を持つカルボン酸の総称です。
「EPA」という栄養素は、5つのシス型二重結合を持つ20炭素のカルボン酸の総称です。
「不飽和脂肪酸」には、2つあって、体内で合成することが出来るものを「一価不飽和脂肪酸」(いっかふほうわしぼうさん)と呼び、合成することが出来ないものを「多価不飽和脂肪酸」(たかふほうわしぼうさん)と呼びます。
「DHA」も、「EPA」も、n-3系脂肪酸の「多価不飽和脂肪酸」で、食品から取るしか方法がありません。
大きく分けると、動物性脂肪の「飽和脂肪酸」、
植物性脂肪の「n-6系多価不飽和脂肪酸」(リノール酸)、
海産物脂肪の「n-3系多価不飽和脂肪酸」(α-リノレン酸、DHA、EPA)の三つがあるということです。
「DHA」は、大脳を形成する脂質として欠かせない成分です。
脳細胞の活性化だけでなく、視力低下の抑制や、抗アレルギー、糖尿病の予防など、生活習慣病の予防に効果的だと言われます。
また、代謝や免疫機能にも欠かせない必須アミノ酸です。
老化防止や、血行促進に働く「ビタミンE」や、ホルモン代謝に関する「亜鉛」の手助けもするそうです。
近年、免疫機能が低下して、花粉症の人が増えていますが、この「DHA」の不足が関係しているのかもしれません。
「EPA」は、動脈硬化の予防や、血圧低下、血中コレステロールの低下などに効果があり、血液をサラサラにします。
デンマークのダイエルバーグ博士という人が、「魚食を中心とするエスキモーには、心筋梗塞や、脳梗塞を引き起こす血栓症患者が少ない」という研究報告を出したそうです。
世界各国が研究を進めていくうちに、魚の「EPA」に、その作用があることが分ってきました。
現在では、閉塞性動脈硬化症、高脂血症の治療薬としても「EPA」は、利用されています。
「DHA」と、「EPA」は、刺身や、寿司など生で取ると100%の栄養を取れますが、焼き魚などの調理では80%程に減ってしまいます。
それでも、「DHA」と、「EPA」は、多く含んでいるので、海鮮料理が嫌いな方は、焼き魚を食べると良いと思います。
他には、シーチキンや、魚肉ソーセージ、蒲鉾などの練り食品で補う方法もあります。
鮭の塩焼き
別に、魚は生でも平気だという方は、回転寿司などで、安く、たくさん食べられるので、お寿司が良いかもしれません。
お寿司の中で、海老、タコ、イカなどは、「DHA」や、「EPA」を含みませんが、代わりに「タウリン」という栄養素が豊富です。
栄養ドリンク(リポビタンDなど)にも入っていて、疲労回復の栄養素です。
血圧上昇に対する下降作用など、「ホメオスタシス」と呼ぶ、「身体や、細胞を正常な状態に戻そうとする作用」があると言います。
特に、肝臓に働きかける作用を持ち、胆汁酸の分泌を促成するそうです。
あと、肝細胞の再生促進作用、細胞膜安定化作用、もあると言われます。
ラットを使った実験で、「タウリン」を投与したラットと、投与していないラットに、濃度15%のアルコールを飲ませ、2時間後に血中アルコール濃度を測定するという実験が行われたそうです。
「タウリン」を投与したラットの方が、アルコールを早く分解していたそうです。
アルコールは、肝臓内で、アセトアルデヒドに分解され、さらに酵素によって、無害な酢酸へと代謝されます。
このアセトアルデヒドが、うまく酢酸へと代謝されないと、悪酔いや、二日酔いになります。
この分解作業が、肝臓に負担をかけるのですが、「タウリン」が入ると、酵素の働きが助けられ、アルコールの分解を早め、肝臓の負担を軽減するそうです。
肝臓の排出機能が衰えると、有害ミネラルが体内に溜まりがちになり、疲れやすくなります。
酵素の働きが低下することで、肌荒れの原因にもなります。
貝の中では、牡蠣が「タウリン」を多く含んでいるそうです。
タウリンを多く含む「牡蠣」
牡蠣は、様々な栄養が多量に含まれる為に、「海のミルク」とも呼ばれます。
ただし、非加熱状態で食べると、食中毒になる危険性もあるので、充分、加熱する必要があります。
それから、海老、イカ、タコ、牡蠣ですが、「プリン体」の多い食べ物でもあります。
「プリン体」は、体の中では核酸という細胞の重要な物質の原料となりますが、過剰な摂取は、尿酸の増加をもたらし、痛風の原因となります。
なんでも、ほどほどが良いということです。
あと、お寿司には付き物の、お茶と、ショウガと、ワサビですが、どれも、強い殺菌作用があり、食中毒から体を守ってくれます。
日本食とは、健康の為に、実に良く考えられています。
魚の話に戻りますが、「DHA」と、「EPA」は、野菜や、肉には、ほとんど含まれない栄養素です。
悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールの働きを助ける効果があります。
魚がどうしても苦手だという人は、サプリで取ることをおすすめします。
日本人の昔の食生活が、健康の秘訣です。