大豆

 

 

日本人に大豆ほど食べられている食材は少ないと思います。

 

大豆を暗所で発芽させる「モヤシ」、未熟大豆を枝ごと収穫し茹でる「枝豆」、大豆を煎って粉にする「きな粉」、大豆を蒸して麹菌と耐塩性酵母で発酵させる「醤油」と「味噌」、大豆を蒸して納豆菌で発酵させる「納豆」、熟した大豆を加水・浸漬・破砕・加熱したものを搾ると液体は「豆乳」、その残りは「おから」、そして豆乳を温めて、にがりを入れて塩析で固める「豆腐」などです。

 

大豆にはサポニンという水溶性の低分子化合物や、タンパク質性のプロテアーゼ・インヒビターや、アミラーゼ・インヒビターや、レクチンなどの有毒成分が含まれており、これらの加工には有毒成分の除去や解毒の意味もあります。

 

この大豆ですが、植物の中では唯一、お肉に匹敵するだけの『タンパク質』を持っていることから、「畑のお肉」とも呼ばれます。

 

それから、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインなどの「イソフラボン」と呼ばれる栄養素が含まれていて、弱い女性ホルモン作用を示すことから、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や、更年期障害の軽減が期待されています。

 

また、乳がんや、前立腺がん等の予防にも効果があることが、疫学的な調査で明らかになってきており、特にイソフラボン配糖体のゲニステインという物質に、腫瘍の血管新生を抑える効果があり、それにより腫瘍の増殖を抑制することがわかってきているそうです。

 

こういった栄養価の高い大豆ですが、実は、マメ科の植物です。

 

藤原氏の「藤」や、葛城氏の「葛」なども、マメ科の植物ですが、「不死」という意味が込められる理由が、その生命力にあります。

 

雑草として見れば、これ程、やっかいな植物はありません。

 

どんなに駆除しても、次から次へと生えて来ます。

 

この生命力の強さの秘密は、根っこにあります。

 

マメ科の植物には、根粒(こんりゅう)と呼ばれる瘤(こぶ)があり、この中に、根粒菌(こんりゅうきん)という細菌が住んでいます。

 

                      © Keisotyo

                ゲンゲの根粒

 

根粒菌は、植物から、無窒素化合物、塩類、水などを貰い、その代わりに、空気中の窒素をニトロゲナーゼによって還元して、アンモニア態窒素に変換し、植物に与えます。

 

この変換する作用を窒素固定(ちっそこてい)と呼びます。

 

植物と、細菌が共存共栄する不思議な関係です。

 

アンモニア態窒素とは、言わば、天然の「肥料」で、マメ科の植物は、根に「肥料」が最初から備わっているようなものです。

 

あれだけの生命力が生まれるのも納得がいきます。

 

イギリスのアングロサクソンの民話、「ジャックと豆の木」のように、天に届くぐらいの勢いで成長してもおかしくないわけです。

 

この「肥料」を作り出すことが出来るのは、自然界では、落雷と細菌だけだそうです。

 

農家の人が、稲を収穫した後に、田んぼにレンゲ(ゲンゲ)を植えるのは、見た目に綺麗からなのかと思っていましたが、この根粒によって土地を肥やそうという理由からだそうです。

 

大豆というのは、そういった意味で、マメ科の植物が作った「ミラクルフード」と言えます。

 

日本人に定番の食べ物に、ワカメの味噌汁があります。

 

ワカメと、味噌の組み合わせは、とても相性の良い組み合わせです。

 

味噌は塩分が多いのですが、塩分を排せつするカリウムや、血圧降下作用のあるカルシウムなどが含まれるワカメは、その欠点を補ってくれます。

 

            豆腐とワカメの味噌汁

 

高血圧など、塩分が気になる方は、納豆や、豆腐で大豆を取る方法もあります。

 

豆腐は、サラダに入れてもおいしいし、味の濃いものと組み合わせても、よく合います。

 

また、絹ごし豆腐に、かつお節をかけたりするのも、「イノシン酸」が加わって、おいしくいただけます。

 

「イノシン酸」は、かつお節のうまみ成分です。

 

それと、かつお節には、「メチオニン」という栄養素が豊富に含まれていて、アレルギーの原因であるヒスタミンの血中濃度を下げたり、ミネラルのセレニウムと結合し、セレノメチオニンという形になり、体内の有害な物質、水銀、鉛、カドミウムなどの重金属を、体外へ排泄するのを助けます。

 

マグロなどの大きな魚は、食物連鎖の影響から、水銀などの有毒物質が体内に蓄積されている場合があります。

 

そういった食品を食べることで、知らないうちに体内に有害な物質が入ってしまう可能性があります。

 

「メチオニン」は、豆腐や、海苔、卵、しらす、ほうれん草、グリーンピース、にんにく、チーズなどにも含まれています。

 

高野豆腐と、グリーンピースの卵とじなども、「メチオニン」がたくさん取れるメニューかもしれません。

 

あと、納豆は、世界にも類似した発酵食品がない、日本人の作り出した、すごい食べ物です。

 

通常、「ビタミンB2」という栄養成分は、肉や、乳製品などの動物性食品に含まれる成分で、植物性食品には、入っていません。

 

しかし、納豆には、大豆を発酵させている納豆菌によって、「ビタミンB2」が、豊富に作られています。

 

「ビタミンB2」は、脂肪を燃焼する時に、必要な水溶性ビタミンで、細胞の再生を促して、肌や粘膜を健康な状態に保ちます。

 

それ以外にも、ブドウ糖を燃焼させる「ビタミンB1」、がんの元になる過酸化脂質の生成を防ぐ「ビタミンB6」、ストレスや疲労をとり、免疫力を高める「パントテン酸」(ビタミンB5)、細胞の老化を防止する「ビタミンE」、カルシウムを骨に結合する「ビタミンK2」など、いろいろな栄養素が含まれます。

 

なかでも、納豆菌が作り出す、「ナットウキナーゼ」という酵素は、血栓を溶かす働きを備えており、心筋梗塞や、脳梗塞に効果があることが分っています。

 

また、納豆に含まれる「プロテアーゼ」という酵素には、ヨーグルトのビフィズス菌と同じような整腸作用がありますが、ビフィズス菌より、納豆菌の方が、胃酸に強く、生きたまま腸まで届くそうです。

 

豆腐の話に戻りますが、沖縄県の人は、長寿の人が多いのですが、豆腐の消費量が、日本一多いので、それが原因なのではないかと言われています。

 

ゴーヤチャンプルも、豆腐を使った料理ですし、「ゆし豆腐」や、「豆腐よう」、「ジーマーミ豆腐」など、沖縄の人は、色々な豆腐を食べています。

 

                © jetalone

               ゴーヤチャンプル

 

色々ある豆腐の種類ですが、私は、高野豆腐がおすすめです。

 

外国人はチーズを発明しましたが、日本人は、高野豆腐を発明しました。

 

世界に誇れる食品です。

 

高野豆腐の、主成分は「タンパク質」と「脂質」で、「タンパク質」は、普通の豆腐の7倍、「脂質」は8倍あります。

 

また、貧血気味の方や、カルシウム不足の方は、「鉄分」も8倍、「カルシウム」も5倍という点も見逃せません。

 

「脂質」の代謝を促進する「大豆サポニン」や、老化を予防する「ビタミ ンE」、骨粗鬆症を防ぐ「イソフラボン」、そのほかにも、「マグネシウム」、「ビタミンK」、「亜鉛」、「食物繊維」など、アミノ酸以外の栄養素も豊富です。

 

さらに、凍らせる過程で「タンパク質」が変性するので、血中のコレステロールを抑制する作用が強く、消化吸収にも優れています。


「脂質」の割合が多く、その8割以上が「不飽和脂肪酸」で、コレステロールを減らす働きに優れています。

 

ダイエット食品としても人気があります。

 

旭松食品 こうや豆腐 のホームページ